読書 東野圭吾「悪意」 手記と記録が不思議にひきこまれた
人気作家の日高が殺された。
第一発見者は、日高の妻と幼なじみの
野々口。
第一発見者の野々口は、悲劇な1日にも
かかわらず友人が殺されたとう体験と
ドラマを書き始める。
もともと小説家になりたかった夢と
野心があり、この事件を「手記」と
して書き始めた。
この「手記」をもとに、加賀刑事が真相を
つきとめていき、「記録」していく。
人間は、書いて記録することが好き
その「手記」には、時系列に起こった
ことを書いているようで、都合の悪い
ことが抜けていたり、ちょっとした
感情が組み込まれていたり、書いて
いる本人はわからないけれど、加賀刑事
には、気づきや事件の解決のヒントが
わかるのである。
加賀刑事は、元社会科の教員
ある事件をきっかけに辞めて、刑事に
なった変わり種
「手記」と「記録」が交互に著されて
いって検証していくというのが
この小説の流れ
犯人探しではなく、動機探しという
ところが不思議にひきこまれて
いきます。
加賀刑事と野々口の共通は、同じ
中学だったこと
元中学教師として、彼に同情できる
ところがあったり、その経験から
事件の糸口にもなったり・・
なぜ、野々口は「記録」し続けるのか?
なぜ、野々口の住まいから日高の原稿
がでてきたのか?
犯人は、なぜ日高を殺したのか?
この幼なじみの関係性
日高は、有名小説家
野々口は、小説家になることが夢
だれもがみな
お互い上手くいっているのかと
思っていた・・
人の心の中
人の感情ってわからない
加賀刑事の検証は
野々口の過去
そして、
小学校の頃までさかのぼる
近所の人の評判
同級生からの聞き込み
母親が子供に言っていたことば
中学生時代のいじめ問題
二人の関係が、子供時代に
言われた「ことば」であったり
親切心が実は迷惑であったり・・
昔のいろんな思いが心の中に
あり、どうしても消したい過去
もある
人間の底知れぬ「悪意」が
ずっと続いていたこと
封じ込められていた過去が
あること
世の中にこれほどの「悪意」が
存在することは思ってもいなかった
という小説でした。