【読書】 東野圭吾「手紙」犯罪加害者の家族を真正面から描いた不朽の名作
東野圭吾「手紙」を読みました。
東野圭吾の本を何冊かよみましたが
今のところ「1位」かも?
と思うくらい心に残りました。
この本を読んだきっかけは、
以前「東野圭吾公式ガイド」を
読んだのがきっかけ
東野圭吾さんは、自分や身内の体験
その場所に訪れたときにストーリーが
生まれたりするそうです。
東野圭吾が「手紙」を書いたきっかけとは?
「家族の誰かが罪を犯したとき
何の責任もない加害者の家族が
どいういう人生を送るのか?」
という興味から書いた本です。
日常、ニュースを見てみて
確かに・・
考えたことはなかったけれど・・
思ってしまいました。
法務省では、刑務所からの手紙も
閲覧できるそうです。
でも、実際の手紙は中身のない
しょーむない内容とか
東野さんは、実際に「手紙」の本を
読んだ死刑囚から手紙ををもらった
ことがあるそうです。
そんな体験なども踏まえて、この
小説を書いたようです。
いろんな展開がありすぎて
この本の結末はどうなるんだろう?
と読み進めていました。
そしてラストは、また泣きました。
東野さんのガイドブックには・・
「ラストはああするしかなかった。」
ということなのです。
家族のため
父が過労死をしたので、男の子2人
を育てるために母はパートの掛け持ち
一生懸命子供の学費と生活の為に
働くけれど、母も過労死する
そんな母の口癖は
「勉強して大学進学すること」
母が亡くなると、兄が弟を大学進学
させてあげるために兄が働きずめ
家族のために働いてたけれど
弟は「自分の将来や自分に
向き合っていない」
体はもう限界にきていて仕事が
できない状態になっていく。
そんなとき、兄が強盗殺人を
してしまう。
両親が亡くなり残された兄と弟の
生活の大変さ
殺された家族の悲しみ
そんな衝撃的な始まり
幸せがつかみとれない運命
強盗殺人の罪で服役した兄からは
月に一度、獄中から手紙が届く
兄にとっては、弟との手紙の
やりとりが毎日の生きる支えにも
なっている。
でも・・
大学進学・恋愛・就職と普通の人が
普通にすることをしようとしても
それができない。
「強盗殺人犯の弟」ということで
幸せなんてなることができない
運命なのだ。
何をやっても、幸せにはなれない。
つかみかけても必ずダメになると
いう繰り返し
努力して就職して、実績を上げて
仕事をしていても身柄がわかると、
人間関係やすべてを失う。
就職先で出会った社長の言葉
彼を慰める、励ますということは
一切しない。
「きみが、差別されるのは当たり前
偏見の目で見られるのは、これからも
ずっと続く。その中で自分が
どう生きていくか?」
を言われる。
社長の言葉から、自分のまわりの人間
関係を思い出す。1本1本、絆の糸を
作っていくこと、また新たな人生を
進んでいく弟
人の絆とは何か?
罪は償えるのだろうか?
犯罪加害者の家族を真正面から
描きいた、感動の小説でした。
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おわりに
この本の主人公の弟が高校生から
ストーリーが始まっています。
同じ高校生をもつ私は、娘にも
この本をすすめてみました。
幸せをつかみとろうとしても
必ず不幸な展開になるので
おすすめするにはどうかな?
思ったけれど、3日で読み終わり
ました。どうやら、次はどうなるのか?
が気になりどんどん読んでいった
ようです。
どきどきしたところ、よかった
ところ、勉強になったところ
などを意見交換会
道徳授業なら「差別、偏見はなくそう」
となるのかもしれない。
でも、就職先で出会った社長の話
人事異動で人目のつかない倉庫係
にした人事部の上司などのことを
考えると、世間や社会はそういうもの
と思えたり・・
社長が彼に言った。
「差別や偏見は、結婚したら奥さんや
子供にも連鎖する」
うわさ好きとはどこにでもいるもの
そして、そうなった・・
彼が守りたい家族を守るには
どうしたらいいのか?
ラストのシーンでは、
彼が家族のために決断したことは本当に
よかったのか?
そして、行けなった被害者の家族の
ところへ初めて行くことになった。
被害者家族が、どう過ごしてきたか?
がわかる。
東野圭吾がガイドブックで
言ってた
「ラストは、ああするしかなかった。」
被害者家族と話す弟
兄の罪の償いは、こういうことなのか?
いろんな場面で答えのない
考えさせられる本でした。